【050】相双 再エネ検討会

2012/08/15 7:08 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2012/08/15 8:19 に更新しました ]
6月1日に、南相馬で、再生可能エネルギーの地域産業化に向けたミーティングを開きました。
メンバーは、相双地区の再生可能エネルギー導入に取り組みたい有志と、環境エネルギー政策研究所の人たちです。
場所は(社)南相馬除染研究所

検討会を開いた趣旨は
〇 南相馬では企業と行政が連携して、メガソーラーや
  大規模風力発電などの計画がどんどん進んでいるが、
  住民主体による再生可能エネルギー導入についても
  どうやって進めていくかを考えたい。

〇そのために、
 ・現在の状況についての情報共有を図る
 ・専門家としてのアドバイスをいただく

検討会のメニューは右のような内容です。


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1-① 南相馬市の状況について


環境エネルギー政策研究所の飯田所長さんたちは、何度か南相馬を訪れ ていますが、被災の現状について、あらためて共有しました。

 ・人口は震災前の 7.1万人⇒ 約4.5万人
    (2/3に減少)
  特に、原発から20km圏内に位置する小高区では、
  警戒区域が解除になっても、人が戻るにはかなりの
  時間がかかります。

 ・総生産額は 震災前は 約 2700億円
  農業総生産額は 約100億円

 ・震災後は
  農作物出荷見合わせ、稲の作付禁止、漁業ストップ、
  製造業の操業停止や移転などが続いて生産額が減少


そういう環境のなかで、
住民の皆さんの想いは
〇再生可能エネルギーを地域産業にしたい
 ・新たな産業として根付かせたい
 ・地元の雇用の確保に役立てたい
 ・南相馬に根付いた機械工業のベースを活かせたら良い

いっぽうで
〇地域産業にしたい想いはあるが 力不足を感じている
・ 被災していて投資体力がないので、資金的な援助が欲しい
・ 再生可能エネルギーの知識、ノウハウが足りないので、
 外部からの支援が欲しい

◎ バイオマスに期待している
・ 除染+農業再生+エネルギー の一石三鳥
・ 風評被害で売れない農作物を活かしたい
・ 設備制作や、維持管理で雇用が期待できる

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1-②南相馬市の再生可能エネルギー導入計画

市が復興計画の一環で検討している再生可能エネルギーの
導入計画の一例は右のようになります。

復興計画としても
 再生可能エネルギーは、新たな産業の創出による
 経済復興に大きな役割を果たすと考えています。

そして、具体的なプランとしては
  ・ 海岸線エリアにおける風力発電事業
  ・ 大規模太陽光発電事業
   ・ 木質バイオマス発電所事業
  ・ ミニ水力発電事業
  ・ 山間部エリアにおける風力発電事業
  ・ コミュニティ住宅計画をスマート化
 などがマスタープランに挙げられています。



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以下は、検討会事務局の推測に基づく計画イメージです。

【参考】風力発電計画                                【参考】太陽光発電計画



                                   (東芝のメガソーラーは その後100MW計画が発表された)

【参考】小水力発電計画                         【参考】木質バイオマス計画


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2-① 再生可能エネルギー導入で関心があること
特に関心が高いのは
■太陽光発電
 ・メガソーラー
  ~ 立地の良い場所に、1MWクラスのソーラーを設置
 ・分散型ソーラー 
  ~農地、建物屋根、公共施設などを活かし
    10~50kwレベルのソーラーを分散設置
 ・屋根貸しソーラー
  ~普及促進のために、屋根だけを借り、
     建物所有者の費用負担を無くす

■バイオマス利活用
 ・エチルアルコール、BDFなどの燃料利用
  ~採算性は悪いが、農作物を活かせる
  ~放射性物質の除去効果が期待できる
 ・除染廃棄物や、葉っぱ、木材などのエネルギー利用
  ~区域の半分を占める森林を活用できる
  ~除染の加速が可能になる

■市民ファンド
 ・エリア外の有志の資金を活用できる
 ・都会の人たちの支援の想いを共有できる


2-② 再生可能エネルギー導入の課題  

ただし、再生可能エネルギーの導入には様々な課題もある
■ソーラー:
 利用率、塩害、製品不良、掲示劣化、パワコン能力
 結果としての 投資収益性など

■バイオマス:
 採算性をどう確保するか
 木質チップなど原材料の確保
 技術開発の難易度が高く、実用化に時間がかかる
 設備の信頼性、稼働率
 放射性物質の回収、減容、処理

■系統連系を含む送電事業との関わり

■資金調達の方法


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課題はいろいろあるが、皆で協力しながら進めて行こうということで、意見が一致。

環境エネルギー政策研究所としても、ニーズに応じてアドバイスをすることになった。

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Hiroshi Nakayama,
2012/08/15 7:08
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