【046】対話1:みんなでつくる未来デザイン

2012/04/09 7:32 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2015/04/15 19:46 に Hiroshi Nakayama さんが更新しました ]
南相馬の未来を熱く語ろうということで、三つの対話の場を設けました。
対話1: みんなでつくる未来デザイン  3月31日 13:30~15:15
対話2: 共生・協創でつくる支援の輪  3月31日 15:30~17:15
対話3:  みんなで未来への対話をしよう 4月 2日  18:00~20:00

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まず、31日の対話1をレポートします。

【趣旨】
地震と原発事故で大きな被害を受けた南相馬市。これからの街づくりに向けてのキーとなるのは、自分たちで創り上げる地域循環型の暮らしと経済ではないでしょうか。
今後の持続可能な社会のあり方や、市民が考える南相馬再生の提案などを共有したうえで、皆で対話しながら南相馬の未来デザインの方向性を語り合います。

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プレゼン1

熊野英介さん: (社)信頼資本財団理事長 アミタ(株)会長


「未来デザイン」

◎ 百のより1の証拠・・・行動することが大切である


企業の役割

「人々の夢や希望や喜びや感動を生み出す価値をつくる事業会社は、誇りと自信を持ち、品格のある人生を提供してきた!」

・事業は新しい価値をつくることができなくなった段階でおかしくなる

・企業競争そのものが「価値競争」をするのではなく、「価格競争」に突入したことで変質してしまった

・もう一度、今の時代においての社会ニーズをカタチにして新しい価値をつくるべきだと思う。


現代社会の問題

・人類は、史上初めて「物豊かで、心貧しい」時代を迎えている

・行き過ぎた「工業社会」・・・人と自然をコストとして、それを貪っている

・行き過ぎた「金融資本主義」・・・いまだにマグマのように息づいている

・「自然、社会、人間」という関係性の劣化が進んでいる

・精神的飢餓・貧困の原因は「孤独」

⇒孤独を解決するには関係性の回復が必要

 ⇒そのなかで一番貴重な価値は「信頼」


①近代社会は不必要に人間の欲望を増幅させ、利潤動機が前提の経済発展をし、

 その税収で政治が社会基盤や社会保障を運営している。エネルギーや資源の安定供給

 や教育や医療を、経済を増長させたことによる課税で賄うという矛盾が起きている。

②近代システムが、複雑で極大化、巨大化したために、自分ではコントロールできない

 ことを言い訳にして、情報がこれだけ溢れているのに世の中を評論するだけで

 積極的に被害者側の立場に立とうとせず、傍観者的ポジションで民主主義を行う矛盾。

③近代社会の尊厳である個人の生命・財産を守ることを最重要にして、未来に必要な

 共通のコモンズを守るというよりも、個人、家族の尊厳を守ることを最優する価値観

 で持続可能社会を構築しようとする矛盾。


復興支援の活動

・東北復興支援のために7月に仙台オフィスを出した

・アミタが東北を支援するというよりも、東北の皆さんにアミタを支援して欲しい

⇒互いに価値を創造しあえる「互恵性」がとても大切である。

・南三陸市に拠点をつくって支援をしているが、南相馬とも協働していきたいと考えている。



信頼資本財団

 =人と人との「信頼」を「資本」にし、社会的事業の創出・支援を行う


 社会的事業とは

  ◎事業が継続することで 「自然資本」「社会関係資本」が増加する事業

  ◎劣化した人と自然・社会・人との「関係性」を修復・再構築する事業


【融資事業】

 ・人と人との信頼を資本に変える仕組み

⇒社会的事業に無利子・無担保で融資する

 ・今までは「税」でやっていたことを「民」がやる

 事例1: 発達障がい児支援  NPO法人 発達わんぱく会

 事例2: 学童保育に付加価値をつける (株)エム・ディ・アイ


共感助成

 2011年3月~2011年12月現在 4450万円

 ・NPOキッズドア ひとり親家庭、養護施設などの子どもたちの学習支援

 ・東日本大震災復興支援プロジェクト


社会デザイン事業

 ・障がい者が手作りでつくったガトーショコラに新しい付加価値 

(スワンベーカリー)など


ポスト3.11の視点

 ・これまでの日本は、豊かな国家・経済をベースとして税を集め、その分配により人々を豊かにできると考えてきた。

  ただ、この構造はいまでは劣化した。

 ・しかしこれからは、豊かな地域の総和は裕福な国家を超えるのだ!というような時代に突入していく

 ・社会的企業を増やし、社会起業家が知恵を絞って、利益を上げていくことで、人々が豊かになっていく。

 ・社会的課題を社会的手段で解決していくことが大切である。


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プレゼン2

箱崎亮三さん: NPO法人実践まちづくり理事長   (社)除染研究所理事

「南相馬再生の考え方」


除染がまず大切

 ・住民の選択:心配けど、ここに住みたいから、除染するしかない

 ・私たちの選択: しかし除染モデルはどこにもない

 ⇒除染モデルを南相馬市から発進していく

 ・除染は環境の病を治療すること

 ・除染はカルテづくりから

 ・除染は、作業研究と管理研究の同時進行

大事なのは、除染をしながら、測定結果やデータ管理などのノウハウを蓄積していくこと

 ⇒ これが南相馬市の財産となり他地域にも貢献できる。



【南相馬の復興に向けて】

 ・マイナスからの復活は容易なことではない。皆で協力してやっていくことが大切。

 ・避難した人たちが戻ってきたくなる、よその人が来たくなる新たな魅力を持つことが必要だと思う。

 ・みんなで協働しながら、原子力災害を克服していく

 ・将来を担う子供たちのために、大人が責任を持つことが必要

⇒これは南相馬だけの問題ではなく、日本全体の問題である

 ⇒オール ジャパンで取り組んでいくことが必要だと思う。



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プレゼン3 

南相馬市太田地区復興会議 奥村健郎さん

「太田地区の復興に向けた考え方」


【太田地区のこれまでの取り組み】

 ・南相馬市太田地区は、原町区に属するが、原発から20kmに一部がかかっている。

 ・3月12日の原発事故以降一時は避難したが、戻ってきて食料調達や防犯パトロールなどの緊急支援活動を始めた。

4月25日には、8割の世帯が戻ってきたが、若い人は避難しているため、人口は 5~6割だった。

 ・6月ぐらいから太田地区として、復興会議をつくって活動を始めた。

 ・除染が最大の問題だったので。まず取り組んだのは線量の正確な測定

 ・その後も、GPS連動の移動計測車を導入するなどして計測をしている

 ・線量低減のために、皆で勉強会をしながら除染活動を推進している





【復興に向けた取組み】

 ・地域住民の帰還に向けた除染支援計画の策定と実行

 ・「野馬追いの里」農業再生計画  = “おひさまプロジェクト”=

  ⇒ ひまわりを作付し野馬追の行列が進む

    さらに、菜種の作付と搾油

 ・自然エネルギーの計画実証

など

 ・放射能汚染土壌および山林・原野の実用的除染システム

~葉っぱが落ちて線量が上がるのは植物石(プラントオパール)の影響大

 ~植物石とセシウムイオンの結合を上手にコントロールすることが解決になる



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対話


◎ 国が汚染作物が出回らないように補償金を出して、作物が出回らないような策を取ろうとしている。

・・・これは、農地が死に、人もダメになっていく。

  そういうところにお金をかけるよりも、農地を活かして作物をつくり、食べられるものは食べ、

  ダメなものは他の利用をかんがえるほうが良いのではないか・。


◎こういうことをやっていれば技術も蓄積できるし、長い目でみれば、復興全体にとっても価値があると思う。

  こういう考え方が新しい生き方になる。

  そうすれば、新たな南相馬の存在価値、魅力につながっていく。


◎南相馬は持続可能性が危うい状態にある。次世代に良い社会を残せるかどうかは、

  今の世代の幸福だけでなく、将来世代の幸福という視点をたいせつにしたい


◎ 住民が原発の問題から逃げている。

・補償金をもらってよしとしていてはいけない

・作物をつくり、自らが行動していくという努力が必要。

・戻ろうとする意欲、立ち上がろうとする意欲を持つことが求められる。

◎除染に関しても、地元の人が一致協力して取り組むべきだ

・みんなが参加して一緒に積み上げていくことが大切

 ・市民が対話をしながら進めていくような新しいやり方を考えていく


◎ 復興に向けては、仕事をつくることがなんといっても重要だ

・田んぼをなんとか活かしていきたい

⇒汚染米を使って新たな事業を興せないか考えている

   米を通常価格で購入し、エタノール化しアルコールランプにする

 ⇒国の支援ではなく、自分たちの取組みでなんとかやっていく

   メッセージ性もあり、この活動を他に示していきたい。

 ⇒これを、地元の人主導でやっていくようになりたい


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■対話で感じたこと

問い:「あなたは南相馬の未来がどうなっていたら良いと思いますか?」


〇 放射能を無くして元に戻すのではなく、放射能と向き合う中から放射能を乗り越えて、他の地区にはない

  新たな価値を見出して欲しいと思いました。

  今までの当たり前の中から大切なものを見出す再発見の機会があるように思いました。

  お金が回るのではなく、お金を通してお互いを思う心が回る地域経済が築けると良いと思いました。


〇 自分の住んでいる、暮らしている場所に、子どもも大人も誇りを持てるような未来。

  被災地中心に過疎の地域など、まだまだ課題の蓄積した場は多い。 

  長い時間がかかるが、動いていくしか解決の道はない。


〇 民が立つ! 地域になって欲しい [熊野英介]


〇 1人ひとりが立ち上がる気持ちの醸成を築き上げていく [天野宏]


〇 農業関係で雇用が生まれる町。

  自然の恵みを生かした産業の発展。

  子どもがのびのびと過ごせる町


〇 安全なエネルギー、安全な作物の自給自足及び販路の拡大を進める。

  しいては、自然豊かな高度成長以前の物づくり、人づくりを進める!     [安藤博之]


〇 この1年、市民の幸福が喪失されてしまいました。

  特に”命”や”生”に対して敏感になりました。

  これからは、力強く生きるために、

  一つひとつ自らのちからで、小さなことから実行し成し遂げる新しい社会を築いて欲しい  [山岡]


〇 地域循環する持続型社会のモデル都市にする    [下川正和]

  ① 自然環境の復元: 多様な生物、新しい資源、共生し共存する

  ② 里山集落の再生: 絆、講、ネットワークサポート、知恵、技の見直し、これからの技術

  ③ 本然的人間の育成: 新しい事業

  ④ 創造: 創意


〇 須藤市長!  [ボブ原田]


〇 良くなって欲しい 

   笑顔あふれる町に    [まさやん]


〇 3.11以前よりも笑顔の多い南相馬  [つっつん]


このような未来をみなで力を合せてつくっていけたらよいですね。


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では、どのように協力しながら進めていくかは、

対話2:共生・協働でつくる支援の輪 をご覧ください。


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