【036】南相馬市復興シンポジウム

2011/12/01 19:10 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2011/12/28 6:55 に Hiroshi Nakayama さんが更新しました ]
11月27日(日) 「南相馬市復興シンポジウム」が開催されました。

場所は原町区の市民会館”ゆめはっと”。
数百人の聴衆の皆さんが参加しました。
(年配の方が多く、若い人は少なかったです)

傍聴しましたので、レポートさせていただきます。

1.桜井市長挨拶
 ・子どもを安心して育てられる市にしたい
 ・心をひとつにして世界に誇る南相馬市を再興したい

2.山川充夫氏 講演 (福島大副学長)
 ・復興計画づくりは、「民」の自主性、内発性を重視して進めてきた
 ・新しい公共としての公設民営方式
 ・産官学による協働・連携の促進がたいせつ
 ・子どもが帰ってこれる帰ってきたいと思える環境づくりが重要
 ・対話、コミュニケーションしながら煮詰めて行きたい

3.藻谷浩介氏
 講演 (日本投資銀行参事役)
 ・今度は全住民が奮起する時である。(役所が何とかしろ・・・ではない)
 ・被害者意識を持ち続けるよりも、経済や除染に関しては前向きに
  「復興に手を貸してくれ」と訴え続け、率先していくことが大切

 ・20年間で起きる変化が2週間で起きてしまった。
  (2030年の人口減少/高齢社会化が目の前に来た。)
  ⇒いかにひどい変化かが目に見えて分かる。
 ・日本の多くの人たちは、人口動態変化の問題を認識していない。
  ⇒タイムスリップした南相馬のメリットは
   問題を何とかしようと思えること

 ・前向きに頑張ってるというメッセージを発信したら良い
   ~良心的なマスコミで情報を流そう
   ~人口減少を逆手にとろう

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4.パネルディスカッション 

 ◎ 赤坂憲雄氏 (学習院大学教授)
  ・子どもたちがここで元気に育っていく環境をつくることが大切
   ~子どもたちを守るために安全安心な環境を取り戻す
   ~手厚い医療的な支援ができること
  ・「子どもたちの未来のために」という想いを持つことが復興には重要

 ◎ 上昌弘氏  (東大医科学研)
  ・医療が届かない問題がある
   ~もともと福島県は医師数が少ない。
     浜通りは特に少なかったのに、震災後さらに減少した
   ~綺麗なグランドデザインを描いてもうまく行かない。
     ⇒具体的に取り組むところから人が育つし、改善されていく。
  ・相馬/南相馬、職業ごと、地域ごとが統一されていずバラバラ
   ~個別の問題に一つひとつ対応できることが必要である
  ・放射能の問題は内部被曝
   ~食材、食料のチェック体制を整えること
   ~ホールボディカウンターを南相馬市に10台置く。 市民病院がデータを持っているので活かすべき。
  ・除染の取組みの強化がいる
   ~ゼネコン主導でなく、地元中心にやるべきと思う
   ~今は山からという方針だが、妊婦から、学校から、・・・というような議論の場がいる

 ◎玄侑宗久氏 (福聚寺住職
  ・放射能に関して県内で悲劇的なのは
   「一生懸命測っている農家」と「子どもを守りたいお母さん」との対立構造
    ~「ND」という結果が出ても食べない、買わない。
  ・セシウムを気にするが、もともと食物には放射性カリウムが含まれる
    ~体には欠かせないカリウムの中に、0.011%の放射性カリウムが入ってる
    ~米には 30Bq   昆布に2000Bq 
    ~お茶がセシウム 100Bqの時に、カリウムは350Bq
    ~体重60kgの人なら、 放射性カリウムが約4000Bq体内にある  
  ・正しく放射能の認識をすることが大切

 ◎ 中村勉氏  (建築家・工学院大学教授
  ・コミュニティの再生
    ~人のために分かち合う という気持ちが大切
    ~水俣の「もやいなおし」を参考に

 ◎ 藻谷浩介氏
  ・ここには「役所の職員が手弁当でやっている」が感じられず、規則通りにやっている感がある
  ・市長がやれといっても、下が動かない
  ・住民と市民とが重なっていない

 ◎赤坂憲雄氏
  ・普通の人が声を上げること
  ・究極の状況のなかで、南相馬市も確実に変わっている    
    ~100年前の自由民権運動が危機の中で生まれ続けている。

 ◎ 田中章広氏  (原町青年会議所理事長

  ① コミュニティの最小単位である「家族」を守ることが大切
   ・だが放射能に関しては散発的な意見で混乱する
    ⇒ 知見を纏めて提供するようにしてほしい
   ・医療、介護、福祉の安心安全が確立できていない

  ②雇用の確保が必須である
   ・66%が事業を再開したが、収入が半減
    ~貯金を切り崩しながら何とかタイトロープで繋いでいるの現状
    ~避難が1年はともかく、5年、10年は持たない
   ・企業、自治体だけでは無理がある
    ⇒国/県/市と民間も一緒にやる必要がある

  ★最悪の状態を想定し、最善を尽くしていくことが重要


 ◎ 桜井市長
   ・心ひとつに南相馬を再興する
    ~今、南相馬に居る人も、外に居る人も
    ~小高も、原町も、鹿島も
    ~行政も市民も一緒になって

   ・たいへんな状況にあって、課題も多い
    ~行政の人たちも疲れている。 心が病んでしまう


  ★市民の知恵、外部の知恵を結集して取り組んでいきたい





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参加者の感想は、
 ◎ 復興に向けての想いを共有できたので良かった
  ・ いろんな考え方を知ることができた
  ・ 藻谷さんの意見は参考になった
  ・ 市もそれなりに取組んでいることが分かった
  ・ 心ひとつに再興するという気持ちが大切だと思う

 ◎ 外部識者の意見は、しょせん外の意見と感じた
  ・しょせん市民のたいへんさを分かっていない
  ・一般論や概念論で、解決策が見えない

 ◎ 具体的な復興に向けた取組みが知りたかった
  ・この先が正念場。どうやっていくのかが知りたい
  ・目の前の課題である「除染」をどうするのかを明らかにしてほしい
  ・田中さんが述べた2つのテーマが、南相馬の抱える最大の課題
  ・ここからがスタートという感じがした


ということでした。

市の復興計画はどんどん進めていただくとして、
これと並行して、市民の視点での復興、未来の街づくりへの想いを共有する場をつくっていきます。

⇒ 「南相馬 未来へのダイアローグ 」をご覧ください。

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