【032】復興に向けて

2011/11/10 4:28 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2011/11/29 19:34 に更新しました ]
1.南相馬市復興市民会議

11月2日(水)午後、「第6回南相馬復興市民会議」が開かれましたので傍聴しました。

今回の会議で
、これまでの議論を反映した「復興計画(素案)」が事務局より示されました。

10月15日に出された意見への対応も盛り込まれて、内容的にはだいぶ煮詰まってきました。
この日の議論も踏まえて、さらに素案を事務局が纏めて提示し、11月末までパブリックコメントを求めるのと並行して説明会も開きます。そこで出された意見を集約し、12月18日に開かれる次回会議で復興計画を発表公表します。


この日の主な議論は「除染」と「経済再生」


◎除染について
 ・除染計画を早く明らかにしてほしい
 ・仮置き場が定まらないと除染の手が付けられない

   ~早く決めたいが、近くには置きたくないという矛盾した想いが
     あり、悩みが深い
   ~ 一ヶ所では無理だと思う。区ごとに置いたらどうか
   ~ 仮置き場が3年で本当に済むのか? 

     ⇒ちゃんとした管理型保管場にすべきではないか
   ~ 東電の敷地の中になぜ持っていかないのか?
 ・いろんなところが除染を始めていて、質が保証できない。
     ⇒市が立ち会うべきではないか?

 ・地元主体の除染をすべき。 除染を産業化せざるをえない。
   ~しかし現状はゼネコンが中心。 
     地元はリスクが高い労働集約型のところだけ請け負う
     形になりつつある
   ~除染と廃炉は地元企業群に発注するというルールを確立すべきだ。除染従事者を地元に住むものに限定するなど。
   ~国を含めて予算をしっかり確保して、進める体制に早くしたい

◎放射能の不安を減らす
 ・ガラスバッジは全員に配布して欲しい。
 ・ホールボディカウンターは最新型で再検査させて欲しい。
 ・放射線値の高い地域は、一家に一台、線量計を配って欲しい
 ・放射能に関する教育を、システム化してきちんと残るようにしたい
 ・「ここは大丈夫だ」という地区を作って、そこに子どもたちを集めたら良い


◎経済再生 

 ・経済復興の基本は除染。これがないと帰ってこれない。
   ~緊急時避難準備地域が解除になって戻ってきたのは1%だけ
   ~避難が長期化すると帰る気持ちがなくなる

 ・復興を急ぐことが必要だ
   ~緊急措置として、無利子の融資、二重ローンの解消
   ~復興が10年、20年先では、そこまで企業が持たない

 ・
地元経済が回ることを考えないといけない
   ~
店を再開しても、支援物資を配っているから商売にならない。

   ~人が増えるためのいろんな策を考える必要がある
   ~ 除染も当面の経済の一つと考えたい

・交通路を確保しないとダメ
   ~トンネルによる遮蔽と、迂回路含めて対応がいる
     (首都圏輸送の金と時間が倍かかってる!!)

  ・ 新エネルギーの計画をもっとしっかり作るべき
   ~ ソーラー、風力の課題も解決していくことが必要

  ・全国から新しい人を集める
   ~ 交流人口を増やして、移住してもらう
   ~ 若い人が集まってくる新たな魅力をつくる

◎復興計画づくり
 ・ 復興会議メンバーは良いメンバーだったので、
  このまま残して継続的に活動していきたい

 ・復興計画を市民参加型でつくっていきたい
  ~今だからこそ、市民が自らが考えていくこと
  ~ 自ら考えて自ら行動する 
  ~ 市も一緒に考えて欲しいし、市民への情報提供も大切
  ~ 少人数グループから始めてやっていきたい

⇒新しい市民社会を形成するきっかけになる

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2.いいたて「までいの心」イベント

11月6日(日)、喜多方市の「大和川酒造北方風土館」で開催された「までいの心」に参加しました。

はじめに
◎  Yae ミニコンサート「いいたての空に向けて」

Yaeさんは加藤登紀子さんの娘さんで半農半歌手です。
心に響く歌声でした。

最後に歌った曲はユニセフのメッセージソングで、
「ハッピーバースデー 311」

3.11に奪われたたくさんの命。
でも同時にたくさんの命がこの世に誕生しました。
たくさんの愛に支えられて。

失ったものは多いけれど、何が一番大切なのかを感じることができました。

一番大事なのはお金や地位などでは絶対ない!
家族や地域が共に幸せに暮らすことです。

この小さな子どもたちに、私たちは何をしてあげられるだろうか?
これからずっと先の未来まで子どもたちの笑顔を絶やさないために。



とても素敵な歌でしたし、お話も素晴らしかったです。

つづいて
■ 菅野典雄 飯舘村長 「全村避難といいたてまでいの力」

 はじめは、菅野村長のお話です。

 ◎今は時代の転換点にいる
  ・「効率一辺倒」、「お金がすべて」、「自分だけ良ければ」、
   という価値観からそうでないものに変わろうとしている。

  ・「スローライフ」=「までいライフ」が求められている

 「までい」とは、
  「ていねいに、眞心をこめて、念入りに」
  「真面目に、倹約でつつましく」のような意味

  ・江戸⇒明治で、武士の時代が終わりを告げ、
    太平洋戦争で、軍人の時代が終わった
   今は、時代の流れを認めない者、
       問題を問題と認識できずに先送りする者の時代が終わろうとしている

  ・大量生産、大量消費、大量廃棄の時代から、違う経済に向かおうとしている
  ・快適さ、便利さを追い求める足し算の生活から、なにが無くても良いかという引き算の生活へ
  ・皆がこのことを考えて、変わっていくことが求められている

◎ 村の復興ではなく、村民一人ひとりの復興
  ・ 1人ひとりの復興プレンをどう作っていくかがもっとも大切
  ・お互い様、互いに助け合ってやっていこうとする気持ちがいる
  ・国の基準に従うのではなく、それぞれが自らの生き方を決める

  ・この苦しみが無駄に終わってはいけない
   あってはならない原発事故で苦しんでいる。
   次の世代に活かしていかなければ、空しい苦しみに終わってしまう
   風化させてはならない

つづいて
■ トークセッション 

「までいな大使」のYaeさん、ラジオ福島の菅原美智子さんを交えて     
いろんなお話をうかがいました。                            菅原美智子さん 菅野典雄さん Yaeさん

◎幸福感
 ・震災前は幸福感が実感できなかったが、今は何が幸福かが分かる
 ・北欧の幸福度が高いのは、
  ① 人数が少なく、小回りがきく、② 相手を信頼する。
  ⇒日本にもヒントになる

◎ リスクコミュニケーション
 ・リスクにどう向き合うかは1人ひとりの判断
 ・放射能に関して、白か黒かの議論になっているが、
  グレーゾーンの中に正しいことがある。 
  ⇒情報を広く吸収し、正しく怖がることが大切

◎ 放射能と除染に関して
 ・日本の土壌とチェルノブイリの土壌とはまったく違う。
  日本は粘土質でセシウムを固着させる。
 ・チェルノブイリは除染をあまりやらなかった。 
  日本はこれに取組もうとしている。
 ・この1~2年をどうするかが大切。 心の問題でもある
 ・山の除染は難しいが、皆の叡智を出して少しでも良い方向にしたい


■ 終了後は懇親会

大和川酒造の佐藤彌右衛門代表も加わって、
福島の現状と今後、産業のありかた、風評被害の克服、
除染、放射能との向き合い方、文化、芸術、などなど
いろんなお話に花が咲きました。


菅野さんの温かい人柄と村民を思う温かい気持ちに共感しました。

大和川酒造・北方風土館は、以前は酒の仕込みに使っていた大きな蔵で、
伝統と文化を感じさせる素晴らしいところでした。


北方も、参加していた方達も皆さんとても温かくて、居心地が良かったです!!
ありがとうございました。

福島の復興に、みんなで協力して取り組みましょう。
11月11日~13日まで「ふくしま会議」です。

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