1.南相馬市復興市民会議 10/15(土)午後から、「第5回南相馬復興市民会議」が開かれましたので傍聴しました。 8月中旬に「南相馬市復興ビジョン」が発行されましたが、これに基づいて定めてきた復興計画を吟味する会議です。 ■ 今回、提示されたのは以下の二つです。 ◇ 資料2-1 復興計画に掲げる施策について (PDF:374KB) ◇ 資料2-2 復興計画の構成について(土地利用の方向性について) (PDF:1977KB) ・資料2-1は復興計画の施策案を体系的に述べています。 復興ビジョンに基づいて施策をブレークダウンしたものですが、 考えられる項目を並べているものなので、何をいつまでにどうするという 具体的なところまで述べているわけではありません。 ・資料2-2は、土地利用と産業再生の方向性を述べています。 ■ 復興市民会議の委員からの主な意見は ◎ 放射能・除染について ・ 戻らないという住民の切ない想いをどこまで切り取っているのかが見えない ・ 外部に居る人には安全の担保が必要ではないか ・ 学校を綺麗にしても、家が高ければ子どもは戻れない。 ・ 計画が定まっていないのに、除染がどんどん進んでいってるのは問題だ。 先が見える計画をきちんと作ることが求められる ・ 除染のマニュアルをちゃんと作って進めるべき 地震・津波で助かった命を(除染で)屋根から落ちて失いたくない ・ 放射線、データの蓄積、世界の叡智を集める。 ⇒目先のことと長期的視点の双方が大切 ◎ 区ごとにバラバラな現状をなんとかしたい ・ 地域がバラバラで纏まらない。 ⇒心ひとつに ・ 各区のバラツキ大。 ⇒ 区長によらずきちんとコミュニケーションが取れるように ・ 地域の横の連携がもっと必要 ◎ 市民の納得がいく復興ビジョンにすべき ・ 市民一人ひとりの復興過程への参画が必要 ・ もっと具体的にしてほしいが、具体案が明確でない ・ 専門部会は行政主導だが、ここに委員を入れて欲しい ・ 市としての発展がどうなるのか? 5年、10年後の市の将来デザインが必要 【南相馬市復興計画策定スケジュール】 【南相馬市復興計画策定フロー】 ~12月までに復興計画策定発表 ~復興ビジョン決定後は、「専門部会」主導で計画策定 ■ 傍聴しての感想 ● 復興に向けた最大の関心事である除染については、計画や手法が定まりきっていないうちに 作業だけが進んでいる感がある。 ⇒スピードが大切ではあるが、計画策定と技術水準の確保が重要 また、戻ってくるためには、ハードだけでなく、不安を和らげるソフトが必要 ● 市民復興会議の意見も踏まえて、行政が復興計画を取りまとめてきましたが、 12月に纏めを出す「復興計画」は概要版レベルということが分かりました。 ⇒ 来年1月以降に、具体的計画を作るということです。
● この具体的計画づくりに復興市民会議の委員も入れて欲しい! という要望が出ましたが、そうはならないようです。 ⇒ 結果的に住民の納得が得にくい復興計画になる可能性もありそうです。 ● ゆえに、住民の声を束ねて行政に繋げていくニーズがありそうです。 ⇒ どうすれば、そのようなことができるか、考えて行きたいと思います。 ★ ということで、市民の想いを繋げていく場づくりを地元の人たちと考えていきます。 ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 2.南相馬 「原二中避難所」展 南相馬の「銘醸館」 二番蔵では10月9日から10月16日まで、原二中避難所展が開催されていました。 9月25日で原二中避難所は閉鎖されましたが、閉鎖の日に至るまで、多くの人々から受けた支援の記録や、生活の記録を展示しています。原二中で避難生活をしていた人々の写真や、ボランティアで訪れた人の写真などが、入り口のボードいっぱいに貼り出され、どれだけたくさんの縁が絆として結ばれたのかが分かります。 この展示場で、アーティストの月下美紀さんにお目にかかりました。 月下さんは現在70歳。4歳の時に広島で爆心から4kmの地点で被ばくしました。 芸術活動をしながら、オランダをはじめとして世界中の国を訪れて、平和運動をしてきました。 彼の言葉には重みがありました。 ◎ 広島も原爆から蘇った。 生きて、乗り越えたところに希望が生まれる。 ◎ 日本はもっと生きる権利について考える必要がある。⇒積極的市民活動につなげること ◎ 自らの活動記録ノートを続けていくことが大切。 ◎ 物質的な支援から精神的支援に移行する時期に来ている ◎ 「絆」という言葉はお金をかける仕組みに感じる。 お金を介在させずに支援する方法もある ◎ 「縁」のほうが自然発生するもので、価値がある ◎ これまでの「地球号」は先進国向け。 ⇒途上国も含めて皆が乗れる新たな船を設計する必要がある。 ふくしまはその基地となる。 ◎ ボランティアは凄いと思う。 日本も捨てたもんじゃない。 ◎ マザーテレサに会った時に、「日本を変えて欲しい」と言われた。 ◎ 今を逃したら、動かなくなる 月下さんの作品(書) 広島で被爆しても生き残った青桐 -------------------------------------------------------------------------- 3.今後の進め方 検討 1)「NPO実践街づくり」箱崎さんとのミーティング ◎ 除染に関して ・ 一般社団法人「南相馬除染研究所」を立ち上げる ・市と連携して、除染技術の蓄積とトレーニングをやっていきたい ・国が11月半ばまでに仮置き場をつくれと指示しているので 市はどこにつくるかで頭を悩ましている ・除染の技術実証実験の公募が始まり、いろんなところが動き出した。 平成23年度「除染技術実証試験事業」の公募のご案内 ◎ 街づくりの活動について ・買い物支援プロジェクトを始めるが、このような活動を通して、 街の人たちのツナガリが深まっていくと良いと思う ・ 「除染なくして復興なし」 街に若い人や子どもが戻ってこれる環境をつくることが優先課題 ・ このニーズを満たすにはどうするかを皆で考えるのが第一歩 ⇒そのような取組みを考えていきたい。 2)南相馬桜援隊「桜風」メンバーとのミーティング ◎ 移動カフェ「桜風」、二ヶ月間の成果 ・仮設における問題点を把握できた ~交流の場が少ない ~交通手段がなく、買い物、病院などが不便 ~放射能への不安が消えない ~仕事が見つからない ~高齢者がやることがない ~新しい場所で地理が不案内 ~仮設内道路の砂利道が困る ~楽しめる場所が少ない ~収納スペースが少ない など ⇒継続して、皆さんの意見を収集していく ◎ 移動カフェ「桜風」スタッフの想い ・メンバーの一員として働き、いろんな人とお話しすることができて良かった ・時には涙を流しながら話をしてくれた方もいて、「絶対にこの街を以前のような明るい笑顔のある街にする!」と心に決めた ・孤立する人がいるかもしれないので、お宅訪問などを継続していきたい ・外でお茶やお菓子を食べながらお話をするスタイルは、特に仮設の人たちに喜ばれ、人のツナガリをつくるきっかけになれた。 ・若人たちから元気をもらえた、来てくれてありがとう、と感謝の言葉をもらえることも多く、この言葉に自分たちも救われた。 ・とてもやりがいのある仕事だったし、次のステージでもこの経験を活かしていきたい ◎ 住民の皆さんの想いを集約する場づくり ・ 「桜風」が対話の場づくりのきっかけになったが、移動カフェそのものの延長上でワークショップを開くのは難しいと感じる。 ~ 仮設住宅の人たちはこれからの暮らしをどうするかが優先課題であり、街の復興までは考えにくい。 ~ ある程度の意見は出たが、将来像を語るほどの対話の場にはなりにくい面もある。 ・ ただ、仮設に入居している皆さんがもっとも復旧・復興のニーズは高いので、その意見をいただくことは大切。 ~ 仮設の人たちの意見を聞く場は、別な手段も考えていく ~ 炊き出しのような場づくりから、仮設の皆さんとの関係づくりをしていく ★プロジェクトのステップ2「住民の皆さんの想いを集約する場づくり」は、多様なアプローチを考えて進めていく。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■ |
活動レポート >