【027】除染への取組み

2011/09/21 17:45 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2011/09/24 18:23 に更新しました ]
放射能影響と除染について、取り組む上での課題の検討、講演会や打合せに同行しました。

1.南相馬市の除染に関する課題検討

NPO法人実践街づくりの箱崎理事長と意見交換をしました。

■課題
  ・除染作業はスタートしているものの、
   まだ除染ノウハウが確立されていず除染の質が確保できない
  ・複数の専門家の方に指導いただい
ているが、
   観点や手法の共有が
図られておらず、
   その力を十分には発揮できていない


  ・計測、除染作業に、多様な施行者が参入しているが、作業の質が

   バラバラである。
  ・地元に除
染などを体系化、システム化の経験が少ない
  ・除染作業の安全に対する配慮が足りない

 結果として
  ・住民に は、なにをどこまでやれが良いのか?
   どの方法が良いのか?

   ・・・・戸惑いが出始めている。
  ・除染の「質」を確保するのが難しい


■対応策
  ・計測や除染の方法、ノウハウを共有するために、一元管理をする
  ・専門家、実施主体を束ねるようなプロジェクトをつくり、
   意思決定プロセスやノウハウの蓄積と活用を図る
  ・地元に働く場をつくるとともに、技術の定着を図る


■南相馬で除染復興モデルをつくりたい
  ・南相馬は、警戒区域、緊急時避難準備地域、計画的避難区域、
   特定避難勧奨地点の四つの放射線区分と、指定外の地域があり、
   フクシマが抱えている課題の縮図
  ・南相馬で開発した手法がフクシマのモデルケースとなって
   全体をリードする
   ⇒相双地方、中通りにも水平展開
   ⇒国際貢献にも繋がる


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2.講演会「放射能から母体、子どもを守り、子どもと豊かな未来のために」 

  ・9月12日夜、南相馬市原町3小体育館。 
  ・講師 日本原子力研究開発機構(JAEA) クリーンアップ分科会 天野 治 氏
  ・参加者 約150人  (8月8日に比べて、中高年の方が多かった)

 体育館の床に座って拝聴 (桜井市長も座ってました)     JAEA クリーンアップ分科会 天野治 講師のお話

 ◎会場からの主な質問
  Q.セシウム137は半減期が 30年。体内で放射能を出すから不安がある。
     ⇒A.体外に早く排出されるから大丈夫。

  Q.安心して生活できる値はいくつなのか?
     人工線量 1mSV、自然 0.6mSVとしている自治体もある。
     年配者は講演を聴きにくるが、若い人はいない。 子ども、孫と暮らしたい。
     ⇒A. 目標は1年で 1/2、 二年でさらに1/2。 あわせて 1/4にすること。

  Q.東大の児玉先生は、原則論で放射能は危険だから極力減らす。
    いっぽう天野先生は、なるべく減らす、でスタンスが違う。
    土壌の漉き込みや代掻きをやると、セシウムをが長く貯めこむことにならないか?
     ⇒A. 児玉氏の貯蔵方式は原発などのの局部的汚染への対処法。 広域汚染には適しない。

  Q.学校だけ除染しても、地域全体を下げないと子どもたちは帰ってこれない。
    通学路、生活環境、すべてができてから住ませるべき。
     ⇒A. 学校は1/3~1/5となり、校庭は0.1~0.15となった。
          あとは、これからの取組み。

  Q.過去2ヶ月間、線量は変化していない。
    住んでる家のほうが長くいるのだから、これを下げないとダメ。
    (雨の日、湿気のある日は低く、乾燥すると高い)
    竹藪など全部やらないと線量が下がらない。

  Q.3月12日~20日に放射能が降り注いだのは分かっていたはず。
    その影響をもっと分かりやすく説明して欲しい。
    何を基準にして、食品が500ベクレルなのか? 何がどうなっているか示して欲しい。


住民の皆さんの切実な想いと疑問をあらためて感じた講演会でした。

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3.講演会「来春より農業の本格開始に向けて」 ~田んぼ・畑のクリーン化

  ・9月13日午前、JAそうま本店3階の会議室
  ・講師 日本原子力研究開発機構(JAEA) クリーンアップ分科会 天野 治 氏
  ・参加者 約100名

  対象はJAそうまの職員や関係者の皆さん            がんばろう福島の幟の前で講演する 天野先生

 ◎ 組合長のお話
  ・フクシマという名前が付いただけでモノが売れない
  ・南相馬は作付禁止。雑草が背丈ほどに茂っている。
   長く放置すると再生がたいへんになる。
   できることからやっていく。
  ・いつまでも補償に頼っていたのでは力がなくなっていく。

  ・田畑や生活を奪われる”いわれ”はない。
   やってみて実績にして、東電や国に要求していく。
  ・行動すること、声を上げることが大切だ!!
  ・自分の田だけやってもダメ。 周りも一緒に皆でやること。


 ◎ 質疑
  Q. 草刈りしたら通常より高かった。どうすれば良いか?
   ⇒ A. 乾燥して燃やす。 灰の線量が高ければ灰を埋める

  Q.一回表土を入れ替えても、またやったら出てくるのではないか?
   ⇒ A.たぶんそんなに線量は上がらない

  Q. 南相馬は安全だと言っても、テレビ番組や、京都の大文字などいろいろある。
     売る対策を建てないと作っても売れない。 どう考えるか?
   ⇒ A. ブランドの再生。 しかけが必要。風評被害を消すには待っててはいけない。

  Q.除染費用を確実に得る方法はあるか?
   ⇒ A.個別にやるよりも地区などで一括でやるのが良い。
      標準見積もり(時間・費用) ⇒一括見積り ⇒ 個別はその上で

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4.飯舘村における除染の考え方

  ・9月13日午後、 村役場飯野支所村長室での、天野さんと職員の方の打ち合わせに同席しました。

  ◎ 飯舘村の考え方

   ・放射能を後世に残したくないので物理的に無くしたい。
    ゆえに、「ハギトリ」を基本方針としている。
   ・帰るために最大限の努力をする
   ・作物をつくろうという感覚はあまりない。

  ◎ 天野さんの考え方
   ・ クリーン化しても、誰も来れないではダメ
   ・ 農業ができるような方法でクリーン化したほうがよい
   ・ 基本的に飯舘村の復活を考えたい


  ※その他の意見
   ・村長は「2年ぐらいで」と言っており、
    線量が低くて戻れるところはやっていきたい。

   ・年寄りは戻ってこれても、子どもは難しいかもしれない。
   ・避難を優先したので、除染が遅れた
   ・国はセシウムを燃やすなと言っている。 ⇒ 蒸し焼きにして回収なさいとの指示
   ・田んぼには アカザが生えて、太く育ってる。 杖にもなる木で、ちょっとやそっとじゃ片付かない。

                                                放射線量測定用の遮蔽容器を村に送った菅野さん
  ★同席した、菅野うめさん のお話


   ・二年は辛い。一年ぐらいで戻りたい。
   ・これまでの暮らしを85歳ぐらいまではやろうと思っていたのに、
    こんなことになってしまった。
 (今は80歳)
   ・畑仕事や家の周りのことをやったり、ゆったり暮らしてきたのに、
    今は仮設の狭い部屋のなかで何もやることがなく辛い。

   ・3日間、元の家に戻ったけど、幸せだった。 
     仮設に戻ると頭痛がするし体がおかしくなる。

   ・ 仮設の友達たちも皆、下向いて座ってるだけ。  
     じっとしていると涙が出てくる。

   ・ 早く帰りてぇ・・・・・!!


最後の言葉、「早く帰りてぇ・・・・・!!」が胸に刺さりました。

自らの意志で戻るという選択肢もあるように思いました・・・・・

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