【025】復興計画づくり

2011/09/21 0:34 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2011/09/21 19:05 に Hiroshi Nakayama さんが更新しました ]
復興ビジョンづくりへの住民参加は、当プロジェクトの大きなテーマです。
そこで、相馬市、南相馬市の復興計画づくりについて、ご担当されている皆さまのお話を伺いました。

1.相馬市

 ◎復興計画のVer.1.1を8月に定めて発行している。


   ・計画が見えないという声が多いので、
        まず道筋を見せることが大切と考えている。
    ゆえに、トップダウン型で、全体の考え方を示している。

   ・人を中心において考えている。
    まずは生活再建、次に復興である
    ゆえに、仮設住宅での生活支援、医療、介護、健康管理など、
    生活に密着したソフト事業からスタートしている。
    ⇒ 基本計画 第1節 ソフト事業

   ・それぞれの人生のステージにより、生活再建のニーズは異なる
    ●高 齢 者 
      今後の人生を不安なく安定して生活できるよう、
      住居整備、生活支援をすること。
    ●子ども達  
      PTSD(心的外傷後ストレス障害)対策をはじめ、健やかに成長
      できるよう支援するとともに、良好な教育環境を提供すること。
    ●青 壮 年 
      被災から立ち直り、新たな人生設計ができるように、
      職業、住居等において環境整備をすること。

  ◎ハード事業
    ⇒ 基本計画 第2節 ハード事業

   ・まずはガレキ処理と被災地整理
   ・土地利用計画で復興イメージを示しているが、
    どこに何をおくか、海岸地域を具体的にどうするかは、
    今後、住民の意見も聞きながら定めていく。
   ・仮設住宅から恒久住宅に移行する時に、
    国、自治体、自己負担をどうするかも課題となる

   ・漁業、農業の基盤整備、道路・鉄道の整備復旧
    取り組むべきことはたくさんある

  ◎ 具体的なことはこれから定めていく。
    ・国の予算がどの程度もらえるかにより、計画のレベルも変わる
    ・沿岸部の建築規制がどうなるか、漁業がどうなるか、
     先が読めないところもある
    ・国の歩調に合せてどんどんリバイスしていく
    ・基礎自治体主体で、地区・住民の合意を得ていくことが大切

ということで、相馬市の復興計画づくりは、
 ① まずトップダウンで、方向性を示す
 ② 国の歩調と住民の意向をみながら、どんどんリバイスしていく
という、トップダウン型のプロセスと言えます。

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2.南相馬市

南相馬市は、多様な意見を聴取し、復興市民会議で検討しながら、
復興計画を定めていくという、ボトムアップ型のプロセスをとっています。

 ⇒ 南相馬市復興市民会議

 ①”復興ビジョン”を策定

  ・住民意向調査、子ども意見調査、市民意見募集結果なども
   参考にしながら、南相馬市復興市民会議で復興ビジョンを策定
   ~8月初め

 ② ”復興計画
  ・復興ビジョンに基づき、市民生活、経済産業、都市基盤、
   防災まちづくり、教育環境の専門部会が具体的内容を検討し、
   市議会や有識者会議と連携しながら策定する。
  ・市民説明会・懇談会、パブリックコメントなどにより、
   市民の意見も反映していく
    ~12月末    


■ 南相馬市復興ビジョン
   8月17日策定

  ⇒ 南相馬市復興ビジョン

 [復興の基本理念]
  ◎スローガン
 『心ひとつに 世界に誇る 南相馬の再興を』

  ◎基本方針
  1.すべての市民が帰郷し
        地域の絆で結ばれたまちの再生

   2.逆境を飛躍に変える
       創造と活力ある経済復興

   3.原子力災害を克服し
         世界に発信する安全・安心のまちづくり


 基本理念を主要施策、施策体系にブレークダウンして
 具体的な計画にしていく


南相馬市では、上記復興計画と連動して、新たな発想による事業事例を
研究し、経済復興に取り組む考え方を持っています。

 ⇒ 新たな発想による事業事例の研究

これは  EDEN計画  と呼ばれています。

   Ecotown
      Design
      Enterprise
      Nansou

 その目指すものは
   ① 再生可能エネルギーを利用し、エネルギーの地産地消
  ② 土壌や水に影響を受けない、安全安心な作物つくり
  ③ 植物工場により強い農業を実現する
  ④ 地域で通年雇用を確保する
  ⑤ 地元企業や地域産業を活性化させる
 
  ⇒ 計画全文

具体的な事例案としては、以下のようなものがあります。
 ・津波被害地における総合産業経営体、
 ・環境にやさしい農業の促進
 ・放射線利用研究を集約する
 ・ロボット工学産業など新分野への進出
 ・クリーンエネルギー転換を集中実施
 ・地域の高度産業人材育成
   などなど



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それぞれの自治体が、復興に向けた計画づくりを急いでいますが、
インフラ再生や産業政策と同時に、市民の暮らしがどうなっていくか、
そして住民の想いがどれだけ反映されていくかがポイントになると思います。

このような視点で、復興計画づくりを見守っていきたいと思います。

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