【023】南相馬レポート 8/30~31

2011/09/08 0:32 に Hiroshi Nakayama が投稿   [ 2011/09/21 16:47 に更新しました ]
8月30日、31日と南相馬に行ってきましたので、簡単にご報告いたします。

1.南相馬の津波被災地の現状。

震災から6カ月近くが経過し、瓦礫が撤去された後には雑草が生い茂っています。


同じ場所の、3月末の情景・・・すべてが流されて爆撃を受けたようになってました


今は緑に覆われて、被災の爪痕がだんだん分からなくなっていきます。
復旧、再生に向けて自然の営みが進んでいることが分かります。
・・・街の再生、復興は なかなか このようにはいきません。
  人の気持ちを含めて、失ったものを取り戻すのには時間がかかります。



2.常磐線鹿島駅付近の現状

南相馬市を通る常磐線は3.11以降、不通のままです。

相馬市の北、亘理町~新地町間は海岸に近かったので、線路がほとんど流出し復旧のメドが立っていません。
南相馬市南部からいわき市までは、原発20km圏内なので、運行ができません。

相馬市から南相馬市間の線路はほぼ使える状態でしたが、電車が通っていないので、
草が覆いかぶさっています。 ここでも自然の力が勝っているようにみえます。


復旧、復興に向けての取組みを加速しないと、自然に負けてしまいそうに思います。


3.農地の放射線量の計測

市民キャビネット農都部会が、南相馬市鹿島区のひまわり畑で除染の先行実験をしました。
深さと放射線量の関係を測定して、今後の除染作業の参考にします。



この先行テストでは以下のような課題が明らかになりました。
1. 計測器や測定基準を統一しないと、データの信頼性が上がらない。
2. テストの目的、手法、記録などの計画を事前にきちんとしておかないと効率が悪い
3. さまざまなグループが除染に取組んでいるが、その連携をとったほうが全体としてのパワーになる。


4.移動喫茶「桜風」の状況

レポート【021】でご紹介したように、
移動喫茶「桜風」は仮設住宅を、13~15時、15~17時の
2部制にして巡回しています。

被災された皆さんに飲み物やお菓子を提供してくつろいでいただくとともに、
皆さんのご意見をうかがって、今後の街づくりに活かしていけたら良いと考えています。

仮設住宅の皆さんからは次のようなお話を伺っています。
〇 避難所に居るときは早く仮設に移りたいと思ったが、住めば都ということでもない。
  ・原発から20km圏内の家には戻れないが、元の家は広いのにここは狭い。
  ・仮設住宅なのでやむを得ないとも言えるが、施設が整っていない。
  ・ここではやることがないし、テレビも見飽きた。
  ・自分の家では庭の手入れや農作業など体を動かすことが多かったが、
   ここでは、することがなくて体がなまっていく。

〇 移動カフェのような場があると助かる
  ・気分転換になるし、いろいろ話ができて良い
  ・これからどうなるか良く分からないし、部屋にずっといると気が滅入る
  ・オープンエアの環境は開放的で良い。
  ・集会所が利用しにくい仮設では特にうれしい。



5.南相馬市情報ステーション「桜風」

原町区のスーパーマーケット「サイヤ」横に
南相馬市情報ステーション「桜風」 がオープンしました。



次のような活動をするための拠点です。
・ 復興に向けた情報の共有
・ 放射能や除染の知識や情報を共有する
・ 線量計のレンタル
・ 市民の休憩や打合せコーナー
PIKAPIKA Movie 制作
・ 「福好再見グッズ販売

運営はサイヤ店長の西野貴守さんです。
志縁プロジェクトも連携して、情報の共有を進めていきます。





















6.【参考】 南相馬市仮設住宅 コミュニティ和みサロンのご紹介

南相馬市の仮設住宅でコミュニティ和みサロン「眞こころ」を開いています。

運営はやっぺ南相馬
日本財団やNPO法人サイド バイ サイド インターナショナルの協賛を得て、
常設カフェとしてお茶やコーヒーを無料で提供しています。
電動マッサージチェアもあるので、お年寄りにも好評です。

たまたま訪問した時には、ラフターヨーガ(笑うヨガ)をやっていました。
笑うことと体を動かすことの両方で、心身ともにリラックスできます。

こちらの運営をしている内田さんは、南相馬桜援隊のベースキャンプの敷地を提供していただいている真野地区消防団の区長さんです。
(時々ベースキャンプでお会いしてます。)   


    内田さん        松野さん      佐藤さん


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■移動カフェや仮設住宅を回って感じたことは
 ① 仮設住宅ごとの仕様の差が大きい
 ② 集会所の活用が進んでいるところとそうでないところがある
 ③ 仮設住宅は買い物が不便な環境にあり、買い物難民化している。

■放射能・除染に関しては
 ① いまだに福島に対する差別意識がある
   ・南相馬から首都圏に行った幼稚園の先生が、園児から「先生、放射能が移るから近寄らないで」
    と言われた。・・・親が子にそう言ってるから、との話に悲しい気持ちになります。
 ② 除染が復興の第一歩だが、その計画がはっきりしていない
   ・農地・山林の除染方針は国からまだ示されていない。
   ・市町村も、なにを、どこまで、だれが、どのように、を定めきれていない
 ③ 市民からも、自分たちが汚したわけでもないのに、なぜ住民が除染をするのか!という反発がある

差別意識に関しては、放射能の知識をしっかり共有することと、人の痛みを分かりあうココロが不可欠です。
これには、教育と人々の意識の転換、気づきが大切だと思います。

除染に関しては、誰かにやってもらうのを待ってるだけでは進みません。
住民も行政も一緒になって、協働して取り組んでいくことが必要です。

⇒このあたりのことを考えるために、9月19日に「ふくしま復興フォーラム2」を開きます。
テーマは「住民・行政・支援NPO等の協働で取り組む復興

場所は 東京駿河台。
南相馬桜援隊の鴻巣さん、南相馬市の桜井市長も参加します。

以下のページをご覧ください。
 『桜井市長と考える南相馬の復興

ふくしまの希望をどうつくっていくか、一緒に考えましょう。



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