8月6日(土)に開催された「第3南相馬市復興市民会議」を傍聴しました。 南相馬市は、小高区、原町区、鹿島区の三つの区があります。 それぞれの区の地域協議会や商工会、また農協、漁協、市民団体、PTA、社協、医師会、大学の先生、などから25人の委員が参加しています。 場所は、南相馬市役所前の市民文化会館「ゆめはっと」 (20~30km圏内なので、公演などは休止しています) 南相馬市はネットで会議の全資料を公開しています。 ⇒ 「南相馬市復興市民会議」 情報開示が進んでいますし、復興市民会議も傍聴は自由です。 委員、行政職員、一般市民、その他、合わせて60人ほどが参加しました。 当日の議題は南相馬市復興ビジョンの検討 ![]() ① これまでの検討経緯と検討結果の紹介 ・復興ビジョン策定(8月): 基本理念・主要施策 復興計画 (12月策定予定) :上記 + 具体的な取組み ・復帰・復旧期(1~3年) ⇒ 復興期 (計10年) ~まずはすべての市民が戻れること ・取組み課題 〇生活再建 〇経済復興 〇都市基盤整備 〇原子力・防災対策 〇教育・子育て環境再興 〇その他 ・「街づくり」は「人づくり」 ~未来を拓く子どもの育成、世代を超えた人づくりが大切 ------------------------------------------------- ② 続いて質疑です。 主な意見は ● 緊急時避難準備地域の解除は早すぎるのではないか? ・まだ線量が高い地域もある ・マスク長袖着用のところに帰ってきてよいのか? ・どこがどのくらいの線量なのかきちんと分かっていない ・まだ除染が進んでいない ・学校などの再開の体制がまだ出来ていない ● 放射線・放射能の計測について ・線量計が不足していて、測りきれてない ⇒市の線量計を増やし、貸し出すべき ・各家庭にもホットスポットがある ・行政だけでできないなら、市民も一緒にやらざるを得ない ・ホールボディカウンターの数が足りないがもっと増やせないか ● 除染について ・除染は東電と行政が責任を持ってやるべきだ ・市民レベルでの取組みも必要だが、費用は行政が出すべき ・家庭の除染を含めて、皆でやらざるを得ない ・雇用にもつながる ・除染方法がいろいろあってバラバラ。 ⇒きちんとしたほうが良い ・汚染が高くて逃げている家の除染をどうするのか? ⇒留守の家は行政が責任を持ってやるべき ・農地、山間部の除染に有効な方法はあるのか? ということで、1時間以上に及んだ質疑の約7割は放射能と除染に関して。 ・・・皆さんが日々の切実な問題として捉えているのが良く分かります。 --------------------------------------------------------- ③ これまでの会議を経てつくられた ![]() (上記資料の 3、4ページが 修正案です) ★スローガン 「心ひとつに 世界に誇る 南相馬の再興を」 ★基本方針 ① すべての市民が帰郷し 地域の絆で結ばれたまちの再生 ② 逆境を飛躍に変える 創造と活力ある経済復興 ③ 原子力災害を克服し 世界に発信する安全・安心のまちづくり 主な意見は ● 復興へのハードルは高い ・20km圏内は家屋の修復ができず、家の中に草が生えている ・農地の再生は難しく、農家の44%が離れると言っている。 ・真野ダムの汚染が心配 ・緊急時避難準備区域が解除されても人はすぐには戻ってこない ● 復興市民会議の位置づけ、進め方 ・有識者会議、復興市民会議、一般の人の会議、・・・どういう関係か? ・有識者会議はこの地に住んでない人の意見に聞こえる ・市民と行政のかけはしになって市に変わって言葉を繋げるようなやり方を考えたい ・意向調査は5000件配布して、3000件の回収だが、これで十分か? ⇒避難していてここにいない人の意見も反映すべきでは ● ビジョンの位置づけについて ・ビジョンが絵に描いた餅にならないようにする必要がある ・「今どうするんだ」が柱のトップにきてほしい ・「スローガン」と「基本方針」との関連づけが分かりにくい ・「福島県復興ビジョン」のほうが分かりやすいように感じる ・「世界に誇る」は結果であり、市民の想いとは違うのでは ・もっと市民の想いを取り入れていくことが必要 ● ビジョンの中身 ・「将来に生まれてくる子供たちが、この地に生まれて良かった」 と思えるようなもの ・「地域資源」とはなにか? 文化や街の古い建物なども入るのか ・漁業の再生も必要 ・「希望を持って南相馬市に生きる」という想いを込めたい ・「原子力に依存しない街づくり」が世界に誇れること ・「地方分権」や「自立」をもっと打ち出せないだろうか 熱い議論が四時間近く続きました。 皆さん、南相馬のこれからの復興を真剣に考えておられます。 今回の会議をもって復興ビジョンを定める計画なので、これからは具体的計画のステップに入ります。 このなかに、どこまで市民の想いを反映できるかが大切です。 ・・・どうすれば良いか考えていきたいと思います。 ================================================================================= 【参考】相馬市復興計画 相馬市は、復興計画策定のプロセスを公開してないので、 今のところどう進んでいるのか良く分かりません。 新聞報道では、 「相馬市は、津波で浸水した地域に太陽光発電を行うソーラーシステムを設置する構想を盛り込んだ。雇用創出を図るため、水産加工場の誘致に向けて税制優遇措置が伴う復興特区創設を検討しているほか、大規模農業生産法人を設立し、大規模農業に取り組む構想がある。」 また、右図からは、 ● 特区適用でインセンティブの充実と住宅払下げ特例を ● 職業域と居住域を分離 ● 被災居住地にメガソーラー などを考えていることがわかります。 =================================================================================== 【参考】 新地町復興計画 新聞によると ● 新地町は、被災地域の災害対策や土地利用などに関する素案をまとめた。 複数の防潮堤による津波対策や原子力災害対策施設の設置などを盛り込み、年内に計画案を策定する。 ● 町復興計画策定委によると、沿岸部には高さ6~7メートルの防潮堤を設置。 防潮堤の内陸側に公園や遊水池を整備し、さらに西側にある現在のJR常磐線近辺に国道や県道をかさ上げして 建設する構想が基本となる。 ● 住宅や市街地は、さらに内陸部に移設。津波で家屋が流失した地域は災害危険区域に指定し、 水産業など一部の職種を除いて建築制限を設ける。 ● 素案では県道や国道、常磐線など主要交通網の移設場所を変えた4パターンを提示。 沿岸部の土地利用ゾーニング案では、低レベル放射性物質1次管理区域や除染実験プラント、 自然体験施設、スポーツ公園などを提案している。 ● 新地町では津波で6集落485戸が被災した。 被災者アンケートによると、住宅再建に当たり重視するポイント(複数回答)は69%が「高台」と回答。 「現在の宅地」は44%、「海の近く」は6%だった。 =================================================================================== 【参考】 宮城県山元町 新地町の北隣りに位置している山元町は、復興計画づくりプロセスを公開しています。 ⇒ 『山元町復興計画』 関連情報 復興基本方針を定めました。 ⇒ 『山元町震災復興基本方針』 かなり具体的に ● 海側は防災緑地ゾーン ● 山側に住居ゾーン ● 中間に産業用地ゾーン ● 常磐線は山側に移設 という計画にしました。 結果として、住民の1/3が転居を伴うことになり、 該当地域の住民から反対運動が起きているようです。 テレビ朝日「モーニングバード」でも取り上げていましたが、皆のコンセンサスを取るのはなかなか難しいことです。 住民と行政の協働による復興ビジョンづくりのプロセスが大切だと強く感じます。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ |
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